THE WHO - DEFINITIVE PHILADELPHIA 1973(2CD) [Wardour-270]

THE WHO - DEFINITIVE PHILADELPHIA 1973(2CD) [Wardour-270]

販売価格: 3,800円(税込)

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商品詳細

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Live at Capital Centre, Largo, MD. USA 6th December 1973 STEREO SBD

 2007年に「WOLFGANG’S VAULT」サイト(現「CONCERT VAULT」)において実現したザ・フー1973年「FALLOUT SHELTER」アメリカ・ツアーからラジオ番組「KING BISCUIT FLOWER HOUR」用に収録した二公演の録音の全貌が明らかになったことは、それまでマニアの間に物議を醸していた「TALES FROM THE WHO」の採用テイクに対する憶測を収束させる画期的な発掘となりました。それまでは二回の公演から組み合わせた編集ながら、KBFH放送時には「フィラデルフィア・スペクトラムでの収録」とアナウンスされていたのではないか?と。確かにラジオ放送ではありえることでしょう。ところが2007年の発掘によって、放送時にはすべてフィラデルフィアのテイクが使われていたことが判明したのです。
 結果として12月6日ラーゴのステレオ・サウンドボード録音は2007年までお蔵入りしていたことになります。ところが発掘された音源はミックスの状態も素晴らしくて音質はオフィシャル・レベル。にもかかわらずお蔵入りしていた原因を推測すれば、ショーの開始直後から盛り上がりすぎてアリーナ前方に押し寄せてくるオーディエンスに向かい、下がるよう何度も促している点が挙げられます。さらに「My Generation」の終盤でジョン・エントウィッスルのベースの音が出なくなってしまったというハプニングも原因の一つかもしれません。そして一番の理由として、ラジオ用の収録メインは4日のフィラデルフィアであって、あくまでバックアップ要員として6日を録音したのだということが考えられます。
 このように当時は日の目をみなかった不遇の音源ではありますが、演奏内容は73年のフーらしく煮えたぎったテンションが輝きを放っています。さすがは絶頂期のライブ・パフォーマンスとしか言いようがない。実際に「LARGO 1973」として2007年にリリースした際にはフィラデルフィアと同様にベストセラーを記録。むしろフィラデルフィアとラーゴそれぞれに聞きどころがあり、しかもそれぞれの演奏が素晴らしいのだから、これらの音源が発掘された意義の大きさは計り知れません。

 「LIFEHOUSE」と「ROCK IS DEAD」というピートによるアルバム構想が連続の頓挫を経て、ようやく「TOMMY」以来のビッグ・コンセプトとして作り上げられた「QUADROPHENIA」ではありますが、当時の最新テクノロジーだったシンセサイザー、さらにはホーンなどを随所に盛り込んだ音作りのアルバムであったことから、ステージになると四人のメンバー以外の音はテープを流すことで補われました。これは「Won't Get Fooled Again」で初めて導入されて効果を上げた手法。ところが、より複雑な装飾楽器のトラックが多い「QUADROPHENIA」でさらにテープ再生を活用させようとしたところ、ステージで困難が続発。
 当時はアリーナ・コンサートに普及し始めたステージ・モニターとスタッフがテープを押すタイミングだけが頼りという極めて原始的なシステムです。当然テープとバンドの演奏のタイミングが合わない事態が頻発。実際にフィラデルフィアでは「I Am the Sea」から「The Real Me」への切り替わりがまったく噛み合わないまま演奏が始まりながらも、そのままKBFHの放送に採用されてしまったほど。そのせいかラーゴでは「I Am the Sea」パートを流さずに「The Real Me」を始めてしまうという荒業に出ています。それどころか「何曲かの選択かと言うと、たくさんやってもステージだと上手くいかないんだ(笑)」と「QUADROPHENIA」セットの完全再現が不可能であることをピートが認めています。今でこそ「アルバム全曲再現」ライブは当たり前となっていますが、当時サポート・ミュージシャンを入れる概念の無かったザ・フーがテクノロジーの限界にぶつかったツアーでもあったのです。

 こうしたテクノロジー上の問題があろうとも、ザ・フーの演奏自体は掛け値なしに最高。特にキース・ムーンのドラミングに関しては、この時期が一つの頂点だったように思えます。空間を埋め尽くすかのような音数の多いプレイが身上な彼ではありますが、その中に細やかさをも盛り込んでいるのがこの時期の彼のドラミングの特徴。フィラデルフィアの「My Wife」などはその最たる例だったのですが、ここラーゴでは先に触れた「My Generation」の終盤で起きたトラブルを彼のドラミングが見事に救っているのがさすが。破天荒なイメージばかりが語られがちなキースではありますが、この場面からも彼がいかに卓越したプレイヤーであったかを窺い知ることが出来るはず。同じようなことは「Dr. Jimmy」でも当てはまり、しかもテープと上手くかみ合ったバンド全体の演奏も素晴らしい出来。そしてフィラデルフィアではかなり歌うのが辛そうだったロジャーも持ちこたえています。
 先の理由からフィラデルフィアでは演奏されなかった「Love, Reign O'er Me」もここではしっかりと演奏されて「QUADROPHENIA」セットのフィナーレを飾りました。同アルバムのプロモーションを前提としてラジオ放送用の収録が行われたことを考えれば、二公演の内ラーゴのみで演奏されたこの曲だけでも放送に組み込むべきだったように思えてなりません。
 そして久々のリリースとなる今回ですが、ミキシング・バランスや音質自体は極上ながらも、フィラデルフィアよりも配信チックなシンバルのシュワシュワ感が目立ちます。そこでシンバルを中心とした高音の浮き立つ感じを緩和させ、さらに全体の音質の濁り感も2007版より解消したアッパー版に仕上げました。全体的には若干の向上といった具合ではありますが、これによってジョンの卓越したリード・ベースがくっきりと聞こえ、例の「My Generation」におけるトラブルもリアルに体感できます。ザ・フーの1973年を代表する二大ステレオ・サウンドボード録音が満を持しての再登場。このラーゴではキースの歌がハイテンションな「Bell Boy」も最高!

★ナンバリング入りステッカー付でのリリースとなります。

Disc 1 (48:01)
1. I Can't Explain 2. Summertime Blues 3. My Wife 4. My Generation 5. The Real Me
6. The Punk And The Godfather 7. I'm One 8. 5:15 9. Sea And Sand

Disc 2 (52:34)
1. Drowned 2. Bell Boy 3. Doctor Jimmy 4. Love, Reign O'er Me 5. Won't Get Fooled Again
6. Pinball Wizard 7. See Me, Feel Me

Roger Daltrey - Vocals, Harmonica Pete Townshend - Guitar, Vocals
John Entwistle - Bass, Vocals Keith Moon - Drums, Vocals

STEREO SOUNDBOARD RECORDING