PAUL McCARTNEY & WINGS - BIRMINGHAM 1975(2CD) [IMPORT TITLE]

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販売価格: 3,800円(税込)

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商品詳細

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Live at Hippodrome, Birmingham, UK 13th September 1975

 ウイングスの絶頂期が1975年から76年にかけてだったことはマニアでなくとも常識と。こと76年に関しては「オーバー・アメリカ」や「ロック・ショウ」といった充実のオフィシャルが存在する分、ウイングスがロック界の頂点を極めた瞬間をいとも簡単に実感させてくれます。そんな絶頂のツアーのスタート地点が75年のイギリス・ツアー。この年はイギリスから始まり、もし予定通りであれば11月の日本武道館で幕を閉じていたのですが、残念ながらそうならなかったのは歴史が示している通り。
 ウイングスの結成後、既に1973年のイギリス・ツアーを成功させていたポール。何事もしっかりと歩みを進めるタイプのミュージシャンですので、本来であればウェンブリ・アリーナや、それこそアールズ・コートを使ったとしても会場を満員にすることが出来たであろうに、73年の時から大きく変わらないコンサート・ホールでの会場ばかりが選ばれていました。これは一重に、オリジナル・ウイングスの崩壊後ようやく実現したライブ・ツアーであったということが大きかったのではないでしょうか。
 そんな慎重な足取りで組まれた会場セレクトのせいか、このツアーはまともな音質の音源がほとんど存在しません。小さめな会場ばかりで行われたせいで、テーパーが良いポジションを確保できなかったことは容易に想像できます。反対に大会場ばかりのオーバー・アメリカ・ツアーがオーディエンス録音の優良音源に恵まれた状況から裏付けられるというもの。ただし音源自体は多く存在しています。問題は音質の良い音源がほとんど存在しないということ。こうした状況によって75年のイギリス・ツアーのアイテムは極度に少ないまま現在に至っており、マニアにしか聞かれない時期であるとまで断言できるほどだったのです。

 そうした中で例外的に、いや、飛び抜けて聞きやすい音質のオーディエンス録音が一日だけ存在していたのです!それが今回限定のプレスCDにてリリースされる9月13日のバーミンガム、ヒポドロームでのライブ。さすがに73年の時よりは大きな会場(その時はバーミンガム・オデオン)を使っての興行となりましたが、それでもニューアルバム「ヴィーナス・アンド・マース」を既に大ヒットさせていた新生ウイングスの人気からすると、アリーナを使わない意外な会場選択がイギリスのファンを喜ばせたことは間違いありません。
 しかしながら、今回リリースされるオーディエンス録音も問題を抱えています。まず何と言っても一番のマイナス・ポイントはオープニング「Venus and Mars"/"Rock Show」の途中までと、それ以上に「Medicine Jar」の途中からライブ終演までの箇所が音質の悪い音源で補われているということ。特に後半パートの音質などはかなりの荒れくれたクオリティであり、これぞ75年のイギリス・ツアーにありがちなレベル。ところがそれ以外のメイン・パートの音質ときたら、このツアーにおけるどの音源とも比べ物にならないほどのクリアネスが際立つクオリティの高さにびっくり!
 もちろんサウンドボードのように近い音像のオーディエンス録音ではなく、むしろ普通に距離感のある音像なのですが、それでもなお75年イギリス・ツアーでここまで聞きやすい音質であることに驚きを禁じ得ない(ただし「Bluebird」で音飛びが一か所あり)はず。非常にスッキリとしたクリアネスだけでなく、何よりもホール・クラス、しかもイギリスのコンサート会場ならではと言える長閑な臨場感が最高に楽しいのです。つまり、既に栄光のオーバー・アメリカ・ツアーと同じメンバー構成でありながら、それでいて演奏も会場のリアクションも驚くほどにアットホームだということなのです。
 
 そうなると演奏内容も聞きどころが満載。ツアー開始当初であるということもありますが、それにしても後のオーバー・アメリカのグロリアスな完成度の高さとは別次元なまったりとした演奏が新鮮なことこの上ない。そんな中でひときわさえ渡っているのがジミー・マカロックのギター。デニー・レインが歌う「Spirits Of Ancient Egypt」において、さっそくハードなジミーのプレイが炸裂。改めて彼の加入がウイングスのサウンドをネクスト・レベルに引き上げたことを思い知らされます。
 それと同時に驚かされるのが、このツアーから初めてウイングスのステージ・レパートリーに導入された各ビートルズ・ナンバーのリアクションが思いのほか熱狂を呼んでいないということ。むしろ「You Gave Me The Answer」のような当時の新曲に対するリアクションがそれに負けておらず、これこそ絶頂期ならではの場面でしょう。もちろんスタンダードの「Yesterday」に対する熱狂的な反応は別格ですが、そうした中でこの日最高の場面は前に演奏された「Blackbird」で訪れます。
 演奏の途中から客席から鳥の鳴き声を真似した口笛が飛び交い、それがまるで「ホワイト・アルバム」のバージョンを再現するかのごとく場の空気にハマってしまった。これには会場も爆笑であり、さすがのポールですら笑いをこらえながら歌っている様子がはっきりと伝わってくるから面白い。もう一つの愉快な場面は当時の新曲だった「Listen to What the Man Said」。ポールが弾き始める前にデニーがリフを鼻歌してみせたところ、そのままポールやバンドが加わってしまい、結果として鼻歌イントロしかもデニーというレアなバージョンで始まってしまいました。
こうして演奏自体はあくまでアットホーム(笑)。今年春の武道館や東京ドームでも演奏されて日本のファンを狂喜させた「Junior’s Farm」は75年ツアーが唯一のリアルタイムのライブ演奏期であり、このツアー最大のレアなレパートリーでもありました。ところがここで聞かれる演奏はライブ披露から間もないこともあって、相当にルーズ。中でもリンダのバックコーラスはラフの極みで、途中で一人構成を間違えてコーラスに向かおうとするほど。一方で現在のライブ・バージョンと違いフルコーラスで歌われている点もまたレアでしょう。
これほどまでに貴重な内容でしかも音質が良好な演奏が今まで埋もれていたとは…もちろん、トレーダー間やネット上ではとうの昔に出回っていた音源であります。今回のリリースに当たっては良好な音質の素性を活かし、疑似ステレオ化することでさらなるクリアネスとアットホームな雰囲気がよりリアルに感じられるようになりました。それでいて全体のピッチも緻密にアジャスト。特に音質が落ちる序盤と終盤の音源とのピッチの違いも補正しています。残念ながら音源が出回った段階で施されていたつなぎはお世辞にも丁寧なものだとは言えないのですが、それでもピッチの誤差を解消した分、リスニング上のストレスは緩和されました。こうした問題がある以上、ウイングスの音源の中では万人向けとは呼べないのも事実でしょう。しかしメインの音源の驚くほどの聞きやすさ、そして76年とはまったく違ったアットホームな盛り上がりと演奏の面白さは、絶対にマニアを満足させる75年ツアーから驚きのレア音源です!


Disc 1 (57:53)
1. Venus And Mars/Rock Show 2. Jet 3. Let Me Roll It 4. Spirits Of Ancient Egypt
5. Little Woman Love / C Moon 6. Maybe I'm Amazed 7. Lady Madonna 8. The Long And Winding Road
9. Live And Let Die 10. Picasso's Last Words 11. Richard Cory 12. Bluebird
13. I've Just Seen A Face 14. Blackbird 15. Yesterday

Disc 2 (57:10)
1. You Gave Me The Answer 2. Magneto And Titanium Man 3. Go Now 4. Call Me Back Again
5. My Love 6. Listen To What The Man Said 7. Letting Go 8. Junior's Farm
9. Medicine Jar 10. Band On The Run 11. Hi, Hi, Hi 12. Soily